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2019年05月

田村和大くんに会ってきた。

田村和大くんに会ってきた。

5/15朝、急に旅立ってしまった田村くんに会ってきた。

彼との出会いは、彼がまだ24歳くらいだったと思う。すでに知り合いだったドラマー、今野大輔くん(田村くんと立教高校の同級生)が紹介してくれた。
初対面の時はバミューダにサンダルでシットインしてくれた(笑)
当時ぼくは40歳少し手前、ある方に背中を押された事もあり、サイドマンだけではなく、リーダーとして独り立ちしようかと思っていた頃だった。そして、田村くんという素晴らしいピアニストと知り合った事が大きなきっかけとなり、”Ken’s Trio”が生まれる。

“Ken’s Trio” ファーストアルバム「I like it !」が2005年に発売、2006年にセカンドアルバム「The Chant」が発売となった。その頃、トリオでの初ツアー時、
「ビータって、シングル(ルーム)何ですね!」と田村くんから新鮮なお言葉。
それから、トリオツアーはじめ、中本マリさん(vo)にもトリオごと雇ってもらい、本当に日本中旅して(ビータして)回った。

プライベートでは、その頃ぼくはどん底。相談というか、愚痴というか、田村くんに話しを聞いてもらってたら、突然ハグされた。
すでにおっさんのぼくに20代の若者がハグで同調してくれたのだ!
そんな、心底優しい奴だった。
彼はその頃最高に幸せで、素敵な伴侶を得た。こちらはというと5歳の息子と「クレイマー・クレイマー」状況で(父子家庭)でてんやわんや。そんな状況下、「礼くん(息子)と一緒に」と優しい言葉をもらい、披露宴にも父子ふたりで参加するも、やんちゃなクソガキ真っ盛りの息子は披露宴で大暴れ、、。

それから10数年、トリオとしての歩みは途絶えたが、付かず離れずの関係で、成長した息子はサックスを吹き始めていた。
そして、一昨年なんと共演する事となる。「礼くんと一緒に演奏したら、泣いちゃうかも」なんて言ってくれて、その成長を優しく見届けてくれた。

2年連続でカウントダウンライブを過ごし、今年3月30日は“Ken’s Trio” として田村和大(p)、今泉総之輔(ds)を迎え、再始動ライブをした。しかし、それが彼との最後の演奏となってしまった。

昨晩、そして今日と町屋へ会いに行く。多くの友人が駆けつけていた。しかし、そこにいるのは本当に田村くんなのか?
彼は生きてる。魂は必ず生きているぞ、と感じたい、いや感じる。
もっと、語りたかったし、語るべき友だった。しまった、と正直に思う。ぼくがハグしてあげるタイミングを逃したのだ。

葬儀の後、3時から早稲田大学オープンキャンパスの講義があった。
今年の冬の講座には田村くんをゲストに呼んで一緒に演奏したこともあり、授業の最後に田村くんの話をし、そして一緒に作ったアルバムから、"The Chant"を受講生の方々と1曲聴いた。そこには魂がはっきりと生きていた。あの音、あのタッチ、田村くんそのものだ。生きている。涙が出た。CDってすごいな、と今更ながら思う。

先に旅立った田村くんからはもう「健さん・・」という渋い、低い声を聞くことは出来ないだろうが、
どうか伝えて欲しい。また昔のように「どう思う?」って聞くから。
残されたものには、引き継ぐべき役割もあると思う。彼の志も引き継いでいきたいと思う。
だから、ぼくも考えるから、伝えて欲しい。
カタチは変わってしまったけど、これからも大切な友人として生きていくから。
見守ってくれとは言わなから、何か伝えて欲しい。感性磨いて、それを受け止めるから。
新しい、関係のスタートだね。これからもよろしくね、田村くん。








kenbass_face  at 23:17コメント(3) この記事をクリップ!