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アウシュビッツ

先日、エレクターとよばれる、大型のラックをふたつ、壊れたビデオ、加湿器、テレビなどを粗大ゴミ処理場に処分に行った。処理場の入り口で車、人、共に重量を量り、出口でまた測定をして料金を払うシステムだ。リサイクル法の施行でテレビは捨てられなかったが、粗大ゴミの予約を市役所でして、当日何時までにどこどこにシールを貼って置いておく、よりは、自分の車で運んだ方がはるかに能率がいい。はじめてその処理場に行ったのはおよそ10年前。引っ越しで不要になったエアコンを捨てに行った。ほとんどの粗大ゴミは分別され、解体され、パーツごとに再生するシステムのようだが、はじめて足を踏み入れたとき、昔訪れたアウシュビッツの収容所と同じ空気を感じてぞっとした。大学卒業後、ポーランドの古都、クラコフの音楽祭に合唱団員として招かれた時のことで、アウシュビッツがポーランドにあることもその時はじめて知った。あの時の重い空気、ガス室や人を焼く炉にもはいったが、そのゴミ処理場も同じ空気が漂っていた。ドイツ人の几帳面さから、ユダヤ人のめがね、義足、入れ歯、等がきちんと分別され保存してある。ゴミ処理場にもアルミの鍋だけ大量に大きなかごに分別してあり、何故か切なかった。モノにも命があるんだなあ、と思いつつ、ゴミ処理場でアウシュビッツを思い出す人もあまりいなかな、と思うと、人は如何に経験で物事を感じ、考えるかがわかる。そうそう、今日東京は霧雨が降り、どんよりしているが、ぼくが訪れた「アウシュビッツ」もこんな感じだった。

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